那須烏山市の霞堤評価に温度差:朝日新聞デジタル
【栃木】那珂川沿いの那須烏山市下境地区に整備される「霞堤(かすみてい)」。国土交通省は着々と準備を進め、市も評価し歓迎しているが、地域の住民からは「集団移転を先にして」「霞堤を最終形にせず遊水地の青写真を示して」と不安視する声が相次ぐ。
下境地区は2019年秋の台風19号で浸水し、被害が大きかった。霞堤は堤防に「切れ目」をつくり、そこから流れ出る水は上流方向に逆流するように進んでいく。濁流にはならず、人家付近の浸水面積は2割程度減るとされている。
川俣純子市長は25日の会見で「被害を受ける住宅を減らそうと霞堤の案が出ているので悪い話ではない。浸水家屋を防災集団移転にして、被害に遭った方をほとんど救うという意味の2割だと思う」と評価した。
ただ、移転先は具体化していない。下境地区では被害を受けた72世帯を対象に、市は8月上旬に個別相談会を開いた。44世帯が参加したという。対象世帯の女性は「移転先が決まってから霞堤整備に入ると思っていたので面食らった。生命と財産を先に担保してから霞堤ではないのか。順序が違うのではないか」。
下境地区には遊水地の整備計画が控えている。国交省は今後30年計画で整備する方針を示す。地区では遊水地ができれば、地域の将来像が描けると期待する。
川俣市長は「現段階ではまず霞堤をということなのでそれを受け入れていただくしかない」と説明。遊水地については以前の取材で「国はそういうものもあるよと言っているだけで、できるかどうか、はっきり言っていない」と話していた。
下境地区の両方恒雄代表自治会長は「霞堤をつくっても県道は冠水するため、避難所などをどこに作っていいか分からず、防災計画も作れない。遊水地について市は国としっかり交渉し早めに青写真を示してほしい」と語る。(小野智美)
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